床の間から、くぅの妙な鳴き声がした。
駆けつけると、網戸の方を見て鳴いている。
その先には、くろまるがいた。
私と一緒に様子を見に来たこめが、くぅに近寄った。
不思議なことに、こめは怖がってる様子がなかった。
初対面だと言うのに、いつになく全く冷静だった。
まるで、害がないことを知っているかのような。
逆に、なぜか落ちつかない様子のくぅ。
こめや私を見て、そわそわキョロキョロ(・д・ = ・д・)
な、なんで???
あんたのお母さんやろ???
私の中では、くろまるがくぅのお母さんだった。
と言うのも、、、
そもそも、くぅの母親になり得るお年頃の猫は3匹いる。いつものでかまると、乳牛柄のおっちゃん、そしてこのくろまること黒いでかまる。
いつものでかまるは、野良猫時代のくぅとの関わりが多く、当初は「でかまる母親説」が根付いていた。
くぅを保護した後、でかまるがすぐに会いに来たことで、より確信に変わった。
でかまるは、ずっと高窓にいたくぅに会うため、外のブロック塀から木をつたって窓枠によじ登り高窓まで来た。
そんな危険を犯してまでくぅに会いに来るのは、母親に違いないと結論付けた。
ところが、その数日後。
でかまるの後ろ姿に、「くぅや私には無いもの」を見つけてしまい、唖然(;゚Д゚)
でかまるは、立派な男の子だったと知る。
そんなわけで、「でかまる=母親」説は消去。
消去法でいくと、残るは「おっちゃんorくろまる」。
ちなみに、どちらも男の子とおぼしきお顔立ちで、今のところ性別判定のチャンス到来はない(^_^;)
どちらも女の子だと仮定した上で色々考察した結果、私は「くろまる=母親」説にたどり着いた。
くぅが野良猫だった頃、2日ほどくぅが行方不明になった時期があった。
心配で探し回っていた時、くぅを探すくろまるに遭遇した。
それは、場所も順序もくぅの行動をよく知る者の捜索方法だったし、なんと言っても毛の色と目が同じDNAを思わせる。
その頃から、非常に近い身内に違いないと目を付けていた。
そんなこんなで、消去法により「くろまる=母親」の新説が出現。
たとえそれが、単なる私の思い込みだったとしても、近しい間柄であることは間違いない。
しかも、非常に近い身内だと思われる。
なのにくぅは、この再会を喜んでいるというより、戸惑っているように見えた。
でかまるが高窓まで会いに来た時とは、様子がまるでちがう、、、
くぅは、網戸から離れた所へ移動し、それ以後近寄ろうとはしなかった。
「知り合いやろ、行ったげてーさ」と言っても、全く無視(^_^;)
私たちに遠慮してるのか?
連れ戻されると思ってるのか?
ただただ再会にびっくりしてるのか?
くぅは、私を見たりくろまるを見たりして、オロオロオドオドしていた。
でも、くろまるは長い時間ここから動こうとしなかった。
網戸越しに部屋の中をのぞいてみたり、そこで香箱座りして寛いでみたり。
何を思ってここにいるのか、、、くぅに会いに来たのは確かなわけで。
何をするでもなく、居座るくろまる。
この子の気持ちを考えた時、私自身こみあげてくる何かがあって、、、
でも、私はそれを何て表現したらいいか、、、
本当に言葉が見つからない(・・、)
くろまるは、当たり前のように長時間居座った後、あきらめたのか帰っていった。
それからしばらくすると、くぅは元の高窓に戻り、いつも通り何ら変化なく過ごした。
が、私の頭の中のくろまるは、その後もずっと居座り続けた。