触れるようになってからはしばらくの間ずっとそれ以上のことは何もしないよう心掛けてきた。
野良猫から生まれて野良猫として暮らしてた所を保護したこの子は、
保護前も保護後も異常なほど人間を怖がった。
そんな様子からは、人間によって怖い思いをしたことはあっても、人間にかわいがられた経験はまずないと思ってた。
もちろん、人間に触られたこともなく、猫同士のグルーミングしか知らずに生きてきたと思う。
私は、まずこの子に「人間に触られる=気持ちいい」を教えることから始めようと思った。
恐らく、今までに感じたことのない「気持ちよさ」を味わえば、「人間に触られるのも悪くないな」と思って寄ってくるようになるはず、と私は考えた。
なので、少し触れるようになってからは、無理矢理でもむぎゅーっとしたい気持ちを抑え、「触る」ことを極めようと努めてきた。
「この子はどこをどのように触られるのが好きなのか」を知ることに時間をかけた。
で、わかったことは、そ~っと撫でるように触られるより、つねるようにつまむようにマッサージするようにムニムニされるのが好きだとわかった。
うちの子はみんなそうなので、本来猫はそうなのかも。
鼻筋や目の間、首や耳周り、背中やお尻やお腹、肉球をぷにぷにされるのも好きだとわかってきた。
そろそろ私は、この子のお触りをスペシャリスト並みに極められたと思う。
くぅも、「もっとして」とお触りの催促をしてくるようになってきた。
そろそろ次の段階を踏んでみようと思う。